ミリタリー

アメリカ軍人が退役せずに除隊するという意味

こんにちは、JapaneryのYukaです。

私の夫は、以前アメリカ海軍で
Active Dutyと呼ばれる現役の軍人をしておりました。
現在は除隊して、アメリカでシビリアンの生活をしています。

最近よく、『あれ、除隊と退役の意味間違えられてる』と感じることがあったので
軍を『退役』せずに『除隊』するということは
一体どういう意味なのかについて言及していきます。

退役と除隊の大きな違い

ActiveだったかReserveだったのか。とかまぁ色々な面で差は出ますが、

退役とは20年間またはそれ以上(active dutyの場合)
勤め上げた人がリタイヤすることを指します。
その場合、年金のような月々のお金がもらえ、
健康保険も継続して軍のものが使えます。
これは、高額医療大国アメリカでは、かなり大きなメリット。

一方除隊とは、リタイアする前に、自分の意思で辞めることです。
あ、除隊には、やめさせられるパターンの除隊もありますが
ここでは自らの意思で辞める方の『除隊』を指すこととします。
除隊した場合、健康保険はその時点で打ち切り。
年金なんぞ出ません。
置かれる立場としては、アメリカで一般家庭の人が仕事を辞める、と同じような感じ。

それでは、除隊と退役の誤解についてもう少し掘り下げて書いていきます。

軍人だったから健康保険の心配しなくていいいよね、は誤解

これが一番多い誤解です。
軍をに属したのち、シビリアンに戻ると
健康保険がそのまま継続できる、というのは
残念ながら全員にあてはまりません。

退役した人、勤務中にケガや障害が残り医療的理由で除隊になった人
勤務中に軍人がなくなってしまった場合の残された家族、
そしてActive dutyから退き、リザーブに移った人。

上記の人は、(ざっくりとなので全員には当てはまりませんが)
健康保険が継続できる場合がほとんどです。

ですが、退役(リタイヤ)する年齢に達する前に
契約更新せず、ただの一身上の都合により除隊する場合

健康保険はその時点で打ち切り〜となります。

はい、一般のお勤め同様、これはかなりシビアな世界です。
よって、我が家は除隊することを決めてから
かなりの貯金をしました。

当面の生活費と、医療費・保険料を支払っていくためです。
除隊後の健康保険の話に関しては
こちらの記事をご覧ください。

軍人だったからペンション(年金)もらえていいよね、も誤解

はい、20年間Active Dutyでの勤続しない限り、もらえません。
(あ、これもざっくりの話なので、詳しくはご自身で調べてくださいね)

そんな甘〜い話はございません。

退役せず途中で夫が除隊した我が家は
年金はいただいておりません。

健康保険は打ち切られ、年金なんぞもらえるはずもなく。
置かれる立場としては一般家庭が仕事を辞めるのと
ほぼほぼ一緒です。

軍人やめたら路頭に迷う、は誤解。

軍を辞める=路頭に迷う。というイメージが払拭できていないのか
夫が軍を辞めようとしていたとき、かなりの人から止められました。

健康保険はどうするのか。
これからのお金はどうするのか。
安定した職と、保証された老後(20年勤め上げれば、の話)を捨てて
恐ろしく不安定なシビリアンの世界で
一体君達はどうやっていきていくつもりなのか?と。

裏を返せば、退役せずに除隊すると
生活に困窮する人がそれくらいいる、ということになります。

これは紛れもない事実です。

転職が難しいのは別に軍にいたせいではないんです。
転職って、シビリアンの世界でも難しいですよね。


テニス部やったのに明日から野球部いってそのまま1日目から活躍してこい!
ってのは無理ですよね。

野球のルールを覚えて、野球に適した筋トレやトレーニングをする。
それで初めて、テニスしか知らんかった人が野球をプレイできますよね。

テニスと野球の共通点をうまく活用・応用できる器用な人もいるし、
一から学ぶのに時間がかかる人もいる。

軍をやめたら自動的に路頭に迷う、ではなく、
新しい環境に順応できない人が、環境をガラリと変えた時困る。
それが軍人であってもそうでなくても、っていうだけです。

隣の芝生は青い:退役組 vs. 除隊組

『うちの夫は除隊したんです』と退役組まっしぐらの現役組に伝えると
『いいな〜』『羨ましいな〜』と言われます。

私からしたら、超高額医療大国アメリカで老後の医療費の心配をしなくていいのは
かーなーり、羨ましいです。
20年勤続で健康保険が一生約束されて、月々の年金ももらえる。
セミリタイヤ生活が勤続20年で迎えられるなんて
本当に羨ましい。と思ってしまいます。

一方で、好きな土地に住んで、
好きな時に旅行へ行き、好きな時に仕事を休めて、毎日家に帰ってくる夫がいる。
子供の行事に一緒に行けて、記念日や誕生日を当たり前に祝う。
除隊後は、将来の保証はないものの、自由な日常があります。

人間というのは勝手なもので、
医療の超高額請求がくるたびに『あ〜軍人のままでいてくれたらよかったのに』
と思う時もあれば、

ディプロイメントの心配なしに
子どもの誕生日ケーキを囲んで歌う一瞬をとてつもなく幸せに感じて
『除隊してくれて本当に良かった』と思う時もあるのです。

あ〜非常に勝手な人間でごめんなさい。笑

まとめ:結局何が言いたいのか

退役と除隊のおおまかな違いや誤解をわかっていただけましたでしょうか。

ほんで結局何が言いたいねん、ということですが。

除隊という決断をするにしても
退役する道を進む決断をするにしても

腹をくくる必要はあるのです。

除隊すれば、その時点でベネフィットは終了。
社会の荒波にポ〜イと放り込まれます。

退役する道を進めば保証は続きますが
この先も引っ越しを続け、
見通しのつかない人生を送っていく必要があるということです。

どっちの道へ行っても
山あり谷ありなのです。

退役と除隊は二つの全く異なる道ですよ、
ということをまとめてみた記事でした^^

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