ミリタリー

軍を辞めるか否か:続ける情熱と辞める決断をする勇気

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こんにちは、Japaneryへ足を運んで頂きありがとうございます。
Japaneryではミリタリー現役生活、
ミリタリー後の生活にも触れて行きます。


今日は、その中間:除隊と契約更新で迷っている時期である
“Transition”時期の心境を綴って行きます。

 


結論から言うと、我が家はミリタリー生活に終止符を打ちました。


リタイアではありません。
キックアウトでもありません。

夫クン本人の意志で契約更新(reenlistment)をせずに、除隊しました。


陸勤務のニーズのない仕事をしていた夫クンなので
ディプロイが他の職種に比べて頻繁かつ長期間ある職種。


頻繁に居なくなることに対して、お互い嫌気がさしていました。
(オバマ大統領が大々的に軍の縮小をする前に軍にいたので本当に多かった。。)
子どもが生まれたことにより、さらにディプロイされるのに
うんざりした様子でした。

頻繁に居なくなる事で

●居なくなると生活に『一時停止』がかかる。

●夫は危険地帯での激務、家の事を丸投げされる妻。(仕方ないですが)

●帰って来ると、普段の生活に慣れるまで時間がかかる。

●慣れたところでまた居なくなる。

●予定が組めない。

●なんなのこの振り回される生活!というフラストレーション

スポーツに例えると、やっとスケートでジャンプができるようになったのに、
8ヶ月の『練習不可』宣言がおりる。

8ヶ月後、氷上に戻ると、ジャンプはおろか、スケーティングから練習し直す事に。


スポーツに例えると
ミリタリー家族の生活・夫との関係はこんな感じでした。
帰って来るたびに、夫との関係性を築き上げる。


その繰り返しで絆が強くなるにはなりますが。
できることなら、普通に生活がしたい。という希望がありました。

普通とは、毎晩夫が家に帰宅して
食卓を囲む。家族の誕生日を一緒に祝えて、休暇を一緒に過ごす。
旅行の計画を立てて、旅行する。

こういったごくごく普通の生活が
ミリタリー家族はできません。

いざ、ミリタリーを辞めるのか。続けるのか?

となった時に両方のメリットを考えました。

軍を続けるメリット

●20年勤めればリタイヤメントのベネフィットがもらえる
●保険・医療費の心配が消える
●世界中を飛び回れる
●ミリタリーディスカウントのメリット
●GI Bill, TA, My CAAなどのメリット
●GI Billは一定の条件の元、子どもが利用できる=大学費用の心配が減る

軍を続けるデメリット

●夫の命の危険性
●子育てをほぼ一人でする、ワンオペ育児の究極版
●これから転校ばかりで子どもが不安定にならないか
●子どもの成長を見逃す夫
●超がつく転勤族
●ミリタリーに振り回され自分というアイデンティティーがなくなるのでは
●子育てが落ち着いても、転勤だらけで働けないのでは
色々な不安がありました。

軍をやめるにあたっての不安

●仕事は見つかるのか
●医療費はどうなる
●未知なる医療保険代・医療費への恐怖
●どこに住めば良いのか(どっちの実家も赴任地から遠かった)
●Transitionに失敗すれば、子どもにも影響がでる(ホームレスは嫌だ!)

最後の最後まで悩む

我が家の場合、契約が切れる40日程前に辞める決断をし
DD214にサインをしていました。


相当ギリッギリまで悩みました。
陸勤務の多い職種に変更する事も可能でした。


陸勤務しかないと言われる職種にも目をつけ、手続きを進めていました。
オーダーのオプションで”make sense”するものがありませんでした。

せっかくの陸勤務なのに、船勤務と同等の陸勤務だったり(笑)
そんな事ってあるんだ・・・・と。

ここで夫クンは軍の生活を振り返ります。

●5年で3回派遣。なのに妊娠すれば派遣されずに住む女性兵。
(わざと妊娠する人も居るのが悲しい現実。男女平等も、ちょっと難しい世界ですね・・・)
●母港が変更になり自費で引越。
●日本の家族に会う為にLeaveの申請をしても当日までApproveしてもらえない。
旅行(特に国際)をしようもんなら目的、行き先などを
何十ページにもわたる書類をそろえ許可をもらう。
●ヤル気のある人とない人の差が激しい(結局公務員なので、ルール違反さえしなければ基本的にクビにはならない)

そして気付く。

『大の大人が振り回され、逆らう事もできず、従順に。
そしてロボットのように人生の生き方を、国から告げられる。


自分の人生なのに、常に誰かのコントロール下にある。
何をするにも許可がいる。


今ならまだ、抜け出せる気がするし、抜け出しても自力で、
そして全力で次の道を探す力は残っている!


20年のリタイア後、『自分の人生に満足している姿が想像できない』
と、ディプロイなしの職種を模索し、軍に残る道を探っていたさなか
最終的には辞める決断をした夫クン。

給料・保険が途絶えるまであと40日!!!!
と自分たちを奮い立たせ、血眼で職探しを開始(笑)

現役ミリタリー家族の皆さん

ひとことで、『すごい!』としか言いようがありません。
頭が上がりません。


最近では残業で遅くなる夫にイラっとする自分がいますが
8ヶ月も帰って来ない夫を待つ皆さんには
口が裂けても言えません。


国への使命感と責任感。そして続けるという意志。
そしてそれを支える家族。脱帽です。

軍を辞めるかどうか迷っている家族の皆さん

色々な道があります。
『辞めてどうするの?』と良く聞かれました。


でも辞めた方が、世界には仕事が沢山あります。(当たり前ですが)
軍という大きな団体に居ると
感覚が麻痺してきます。


そしてシビリアンであった時の生活すら忘れてしまいそうになります。


20年というリタイアまでの年月の後、自分の人生に満足できるのか。
そこを考えてみて欲しいです。


もちろん軍に居続けるメリットは沢山あります。
でもメリットはデメリットなしに存在しません。


良く聞くのは、10年を過ぎると、もう『半分過ぎたから20年まですればいい』。
確かに20年後の手当は相当手厚いですが
20年に達するまでの自分を、そして家族を想像してみてください。


それぞれの家庭・状況に合った選択肢を見つけ
辞める事も選択肢の一つであっても良い、という事です。


辞めるという決断の背中を押してくれる人があまり居なかったので
記事にしたいと思いました。

この記事を書いた理由

辞める人・続ける人を比べたり
批判するつもりは一切ありません。


ただ、続けるメリットというのは良く聞きます。
軍人であることのプライド、国に遣える使命感、やりがいなど。
でも軍人であり続けるという事が美化されすぎているようにも思いました。
(20年で一生保証の年金・保険・医療費・・・)


軍に居る事だけが給料の得られる仕事ではないはずです。
軍人という広くて狭い世界にいると、シビリアンの世界から疎遠になりがち。


それぞれの選択肢のメリット・デメリットを納得のいくまで話し合う。
そして辞めるという決断も、あって良いんだという視点をシェアしたかったので
この記事をまとめました。
 


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