バイリンガル

英語習得の壁は分厚い。どれだけ勉強しても伸び悩んでいるあなたへ。

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「3歳までにやらないと遅い」
「英語耳が出来上がるまでに始めないと、手遅れ」

こんなこと平気で言っている英会話教室や講師を見かけます。



そしてあろうことか、sitの”s”の音がカタカナの”シ”の発音になっている講師や
“clap”の”l”の発音が堂々と”r”になっている講師さえいます。
もうイチから出直してこい!!!レベルで呆れます。

「英語講師」になれるハードルがかなり低い時代であるのに
英会話教室や英会話学校の勢力は未だに衰退せず。


英語を教えることができる人材育成が追いついていないのに
早期英語教育は、早まるばかりで不安を感じずにはいられません。

この記事では、大人・子どもともに、英語の勉強・習得が伸び悩んでいる人に向けて書いています


ようこそ、英語ができて当たり前の世界へ

18歳までをグローバル化と無縁な日本の田舎で過ごしました。
英語はもともと得意教科で、好きな方でした。
渡米前にTOEICは700点以上ありましたし「Your English is so good!」と
ALTの先生たちに褒められていました。
発音も自分で研究に研究を重ね、かなり気をつけていました。
ある程度普通に通じる英語力はあったと思っています。

ところがどっこい。

渡米後に気づいたことは・・・
自分が「得意」教科にしていた英語のレベルは、
現地ではスタート地点にも立てていないという現実。
(渡米して初めて気づいたの?はスルーでお願いします。)

当たり前ですが、英語圏では英語は話せて(読み書き聞き取り全部)当然。
ア、タ、リ、マ、エ。

日本からやってきた、母国ではちょっと英語が得意なだけの小娘なんて、
英語力に限りのあるただの外国人。

大学の授業でペアを組んだネイティブに「なんで英語すら満足に話せないコイツと組まされないといけないワケ?なんの特になるの?」と言われた苦い経験さえあります。


挫けた時は、母国語としての日本語の勉強量を思い出す。

生まれた時から今まで、ずっと日本語を母国語としてきたみなさん。

日本語を母国語として習得してきた道のりを思い出してみてください。

なんども書かされた漢字ノート(単語覚える)。
音読み・訓読みの読み方(発音の方法)を覚え、漢字(スペリング)を暗記する。
音読の宿題をこなし、古典・漢文から現代国語まであらゆる分野の国語に触れてきた学生時代。

「国語」としての勉強量に、日本語を使って勉強してきた他の教科の時間量が加わります。
言い換えると、社会や理科、数学や体育・・・全ての教科を日本語で学んだので、
その時間も「日本語」の勉強量に含まれるのです。

さらには、社会勉強的な場面で習得した日本語も加算されます。
部活動、人間関係、テレビ、映画・・・。全て日本語で経験した勉強量に含まれます。


社会人の方であれば、「日本語」を使って、なんらかのスキルを習得して仕事をされていると思います。

勝手に習得してきたように感じますが
私たちはかなりの時間を、「日本語」というツールを使って
「勉強」の時間に充ててきました。

それを、たった数年、たった5年、たった10年、週に数回1時間英会話教室に通って
勉強しただけで「英語」レベルが、母国語レベルになると思いますか?

答えは簡単ーーーなりません。

もし、英語が伸び悩んで挫けそう><!であれば思い出してみてください。
あなたの母国語である日本語は、勝手に身についていません。実は今まで何十年もの年月、
相当な勉強量を費やして、習得した言語なのです。


そしてあなたの母国語は、毎日進化しています。


【発音編】近道なんてない。地道に発音記号を勉強するのみ。

日本人の一番の弱みとも言える「発音」

この記事の冒頭にも書きましたが「英会話講師」を名乗る存在でありながら
1音違うだけで、かなりお下品な言葉になるような単語でさえ
堂々と間違った発音をしている講師をまだまだみかけるので、とても残念に思います。

日本語を習得した時にも、音読みや訓読みのルールを勉強したのと一緒で
発音の仕組みをわかる必要があります。
(大人になればなるほど、耳コピが厳しくなるので尚更です!)

“a”という音なんて実に5種類の音があります。
そういう法則、仕組みを念頭に入れておくだけで発音に変化が出ます。
騙された!と思って、この記号の時はこういう音だ、という法則を全て頭に入れてみてください。


(詳しい方法は、興味がある人が多ければ、おいおい記事にします)


【スピーキング編】もっともっと鼻をへし折られてみればいい!

今まで、日本で生活してきた中で、クソ〜〜〜〜!!!!
と思った悔しい経験を思い出してみてください。

子どものときにお母さんにされた注意。
学校の先生に怒られたこと。
運動会で2番だった。
試合に負けた。
部活の先輩にきつく言われたり。
恋人と喧嘩したこと。
上司に言われた一言だったり
友達に言われて傷ついたこと。

悔しい思いをして、
お母さんに言い返した。
悔しい気持ちを抑えながら上司に反論した。
恋人と仲直りするまで話し合った。
試合で負けた悔しさから、チームと一緒に相談しながら次の作戦を練った。

日本語を使うときは淡々と、天気やニュースの話だけをして生活していますか?
違いますよね。時には感情に揺さぶられながら、反論もしますよね。



ところが、英会話学校に通うとどうでしょう?
『Wow! Good job!』
『Your English is so good!』
『Well done, great work』
『Nice try!』

と、あまりにも不自然な空間が出来上がっています。

これが実は大きなワナ。

在米10年以上の私が断言しますが、英語圏に住む上で
『英語』という言語は『できて当たり前』の大前提。


あなたが一言ビシっとかっこいいフレーズを言えただけで
褒めてくれる人なんて現地にはいません。いるとしたら語学学校の先生くらいでしょうか。

むしろ、英語が母国語ではない外国人の私たちにとって
日本では『武器』として見なされる英語は
英語圏ではただの『ハンデ』でしかないのです。

もっともっと生の英語に接する、というのは
もっともっと感情で揺さぶられる、
泣きそうなくらい困った経験、
時には鼻をへし折られて悔しすぎる、そういう会話経験も
必ず必要になってくる、ということです。


【リーディング編】読書量が母国語を超えるとき、やっと母国語レベルに近づく

日本人はリーディングは割と得意な方だと思います。

でも、思い出してみてください。
日本基準の「得意」は、英語圏ではただの当たり前。。。

私はアメリカの大学で『教科書100ページを読み、明後日までに10ページのレポート書いてください』と言われたとき、ただただびっくりしました。

日本の高校では、1年間かけて、うっす〜い英語の教科書を勉強していました。
今思うと、日本でやっていた「長文読解」なんて、長文の部類に入りません。

アメリカの大学に入った途端、100ページ単位で英語を読むことになったのです。
英文学の授業では、100冊。本を100冊読んでレポート提出。なんてのもあり
毎晩毎晩徹夜をして英語の本を100冊読みました。

『毎日、英語で新聞の1段落を読んでるのにまだまだ伸び悩む』と感じている方。
コツコツの努力は素晴らしいですが、読書量の絶対数がまだまだ足りません。

つまり、自分が今まで触れたことのある母国語での読書量を超えて初めて
英語でのリーディング力が、母国語に近づくことになるのです。


【ライティング編】採点さえ不可能!?書くだけじゃなくて添削チェックをしてもらう

中学・高校・大学で国語の作文添削をされるとき、
句読点のミスや、漢字間違い、文法間違いがあると減点されますよね。

まさにそのシステム。

アメリカでEnglish、つまり国語としての英語の授業をとりました。
出したレポートの採点は、「採点すら不可能」

つまり「出直してこい」。

句読点はミスだらけ。
APAのスタイルは無視されてる。
その上、細かな文法ミスが多すぎる。

泣きました。悔しくて。だって採点すらされない=同じ土俵にすらたたせてもらえないから。

なんとか採点してもらえるように、同じ寮の友達に添削チェックを頼んだり
図書館にいる暇そうな(優しそうな)ネイティブを片っ端から捕まえては自分の英作文の添削チェックをしてもらう日々が続きました。

テストや宿題でもない限り、書いたものを見せるのは恥ずかしいですが
どんどん見せて、どんどん自分のミスに気づくことが大切です。


【リスニング編】練習しかない。

毎日Youtubeで英語の動画見てるのに、なかなか変化を感じない・・・



と思うのであれば、しつこいようですが、思い出してください。

テレビ。
流れる音楽
会社の研修。
友達との喧嘩。
恋人と言い合いしたこと。
近所の人との会話。
道を尋ねる。

誰かが発する日本語での会話を耳にするって、
いわば毎日毎日起きてから寝るまでなんらかの形で聞いています。

英語がなかなか聞き取れない・・・
それは明らかな経験数が絶対的に足りていないだけ。
それは母国語のリスニング経験と比べれば差は歴然。


Youtube動画で英語に毎日1時間触れてるのに
伸びてないように感じるかもしれません。
そう感じた時は思い出してください。

何十年も、毎日朝起きてから夜寝るまで流れるシャワーのように聞いてきた母国語の環境と
動画で1時間触れる英語のシャワーとでは、絶対数が違いすぎるので
その差はなかなか埋まるものではないのです。

なので、落ち込む必要はないんです。
だって母国語と英語とではこなしてきた場数が違いすぎる。
その場数の絶対的な差を、いかに縮めるためにコツコツと努力ができるか。


まとめ:断言します、第二外国語が母国語を超えることはない

英語に伸び悩んでいる方、朗報です。

母国語である日本語力を第二外国語の英語が超える日は来ません。
なぜなら、母国語という軸があってこそ、そこに英語が肉付けされているからです。

でも思い出してみてください。

あなたが習得した日本語は、「勝手に」身についたものではありません。

学校で勉強した日本語(国語や日本語を使って習ったその他の科目)を始め
部活や人間関係などの社会的な場面で使用してきた日本語、
仕事や資格を取得する上で触れている日本語。
毎日朝起きてから寝るまで浴びている日本語のシャワー。

あなたの母国語の軸は、日本語で場数をこなすたびに
日々太く安定したものになっています。

その安定した土台さえあれば、その上に英語という肉付けをしても
グラつきません。

英語をどれだけ勉強しても伸び悩む、という悩みを抱えた方は2つのポイントを思い出してください。


1. 日本語と英語での場数の絶対数差がまだまだある。
2. 母国語が進化し続ける限り、その上に肉付けできる英語の量も伸びしろがあるので希望を持って継続する。

このポイントからわかるように、母国語の軸が安定していない状態で
第二外国語にフォーカスをあてすぎる、早期英語教育は危険だ、という構図が出来上がります。

が、それについてはまたの機会に。





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