Uncategorized

日本の医療通訳の現状から見た国際化

こんにちは、JapaneryのYukaです。

アメリカでは夏休みの間、病院(小児系)が混みます。
みんな普段学校があるので、長い休みの間に済ませるイメージです。

さて、夏休みの間に我が家も(アメリカ)病院での用事を済ませました。
そこで気になった医療通訳の存在。

アメリカの病院では基本的に通訳は無料で提供されます。
現実に、総合病院の受付では、『通訳を手配しますのでお申し出ください』と
張り紙がしてあります。

気になって実際に受付で、『医療通訳使う人って多いの?』と聞くと
『とても多いです。毎日なんらかの言語での利用があります。
友達や子供、親戚に通訳してもらうのは禁じられているので
利用者はかなり多いです』

との回答がありました。
もちろん、医療を受ける権利は言葉の壁関係なくあるので
通訳料金は病院もちです。

アメリカでは法律や制度が、整備されている印象です。
これは訴訟大国ならではの裏事情も関係していそうですが、
命に関わる医療現場で通訳の存在は重いので整備されているに越したことはないですよね。


じゃあ日本での実情はどうなんだろうと調べてみると、
とても悲しい国際化の現状が見えてきたのです。

はい、前置きが長くなってごごめんなさい。

今日は、医療通訳という日本ではまだ未開拓のフィールドからみる
日本の『国際化』の現状と課題を書いていこうと思います。


日本での医療通訳の存在とその位置付け

思い立ったが吉日。
日本の医療通訳やその制度についてググった後、

日本で医療従事者をしている友人にラインを送り
日本の医療現場での医療通訳の現状も聞いてみました。

ググったり聞いたりする中で見えてきた現実:

まず、医療従事者や事務員といった病院スタッフの中で言語の対応ができる場合は済ませる。
そして、医療通訳を行なっているボランティア団体に問い合わせるけれど
数が足りておらず、なかなか対応してもらえないのが現状。
ポケトークに頼ってその場しのぎでの対応もある。
その言語を話す友人や家族が医療通訳として同行する場合も多い。

こういった答えが返ってきました。

まず驚いたのは、医療通訳がまだまだ『ボランティア』
によって成立している、という現実。

報酬の発生しない(したとしても”交通費支給”のみ)ボ、ボランティアですと?????????

通訳というのは、通常とても高い時給が発生するお仕事の一つであります。
ましてや『医療』という専門分野の通訳は、一般通訳に比べて
かなり単価が高くなるのにもかかわらず。

それがボランティアベース。
つまり誰かの善意に甘えきっている状況。

私は驚きと、国に対する恥ずかしさを感じました。

先進国と呼ばれ、国際化を大々的に掲げているこの国で、
それはないだろう。と。

ブラック気質が抜けない国の根本的な問題なのではと
疑問に思うばかりです。

日本に住む外国人の人権問題

何か問題があるから病院にいく。

病院へルンルンした気持ちで行く人なんていません。

病気や怪我という、嬉しくもなんともない理由で病院を訪れる人がほとんどです。
急な怪我や急変といった命に関わる状況もあり得る場所が病院です。

言葉が通じても不安なのに、言葉が通じなかったら不安で押しつぶされそうになります。

それを、ボランティア団体の善意に頼って成立させている。

恐ろしすぎる。

外国人といえど、日本で税金を納め、健康保険、医療費を支払っている人たち。
それなのに医療現場で言葉が通じず不安なまま過ごす理不尽さ。

彼らの人権は、何処へ?

足りていない医療通訳者の数

日本の医療通訳の現状をググってみると出てくるワードは
『数が足りない』

もちろん、医療用語を両言語で扱える人材を探すのは至難の技かもしれませんが
交通費が支給されるくらいのボランティア活動を
誰がフルタイムで行えるでしょうか?

医療通訳の数が足りないのは、
言語を扱える人材確保の面だけではないことにどうして気づけないのか。
(気づいていても、どうしてそこで報酬を出さずにケチるのか?)

そして医療通訳士の民間資格はあるとはいえ、
誰がお金と労力をはたいてまで、『ボランティア活動』をし続けられるでしょうか?

ボランティア活動を否定するわけではありませんが
善意だけでその人はご飯を食べていけるわけでもありません。

二足のわらじで、生計を立てるための本職と、
ボランティア活動の医療通訳を両立させる。

これじゃあ人材の確保は難しいでしょう。

当たり前です。

日本の『国際化』への捉え方

やれ国際化。
やれ英語。

私が日本で教育を受けていた頃から
耳がちぎれるほど聞いてきた『英語』と『国際化』というワード。

2019年になった今、果たして日本ではどれだけ『国際化』が進んでいるでしょうか?

増え続ける外国人にどうやって対応しているのでしょうか。

彼らは一時的なお客さんという位置付けで終わっているのでしょうか?
医療通訳をボランティアに頼る国に『おもてなし』の心はどこにあるのでしょうか。

外国人でも、お金を払ってビザを取得し
就労して税金を納め、健康保険や医療費を支払っている人間です。
そんな彼らにも我々日本人同様に扱ってもらえる権利はあるはずです。

『国際化』と大々的に長年掲げている国で、
日本にいる外国人への配慮の遅れと整備不足には
驚きを隠せません。

アメリカで実際に見た医療通訳者の存在

私は婦人科の定期検診を受けるために待合室にいました。
すると、中東系の妊婦の女性とそのご主人も一緒に待っておられました。
彼女の大きいお腹を見て、私が、『楽しみだね〜』という話をしていて気づいたのは、
奥さんの方は英語が話せないという事。
ご主人とは私は普通に英語で話しました。

彼女が受診の番です。
すると通訳者が一緒に同席していたのです。

英語の話せない奥さんと、英語の話せるご主人。
それならご主人が訳せるし通訳いらないよね?と思うかもしれませんが

家族や友人、子供が患者の医療通訳を行うことは
基本的に禁じられています。

そういった背景から、たとえご主人が通訳できたとしても
病院が斡旋している医療通訳者が同席していたのです。

(アメリカには患者が母国語で医療を受ける権利があるという旨の法律が存在する)

アメリカって太っ腹だな〜と思うかもしれませんが
移民大国である上に、訴訟大国でもあるアメリカで
医療通訳制度が整備されていることにはあまり驚きません。

むしろ命に関わる大事な場面で言語が問題で不祥事が起こることを避けれるのであれば
医療通訳者に支払う時給は良い予防薬です。

私は利用したことありませんが、そういう整備が整っていることに
素晴らしいな、人権が守られているな、とありがたさを感じます。


日本で医療通訳者を増員するためのステップ

医療従事者でも医療通訳者でもない、
ただのブロガーの意見です。

人材確保、増員するには、医療通訳者をきちんと『報酬の発生するお仕事』としてみなすことが
第一ステップだと思います。

ボランティアの善意に頼っていいのは、手探りしている初めの短期間だけ。

奥州市、医療通訳充実に力 対応言語、人員拡大へ

この記事を読んだ時に、『お!すごい取り組みだ!』と思ったのもつかの間。

2019年の段階でもなお、ボランティアの善意に頼っている状況。
そしてようやく最後の行に『本年度から同協会への委託事業とし、待遇改善も検討する』と書いてありました。

『待遇改善』とは、
本年度よりようやくお給料の発生するお仕事として委託するという『検討』なのでしょうか。

そうであればこれほど嬉しい一歩はないですよね。

日本人特有の『検討しておきます』で終わらず、本当に踏み出す一歩であってほしいと願うばかりです。

まずは、医療通訳というお仕事を、
きちんとお給料の発生させるべき職であると認めるところから
整備していってほしいと願います。

まとめ:本当の国際化社会への希望

国際化とは、TOEICで〇〇点取れる人材を増やすだけではありません。

国際化とは、いかなる文化・人種・国家の人とも
共存する社会の中で、お互いを理解し、受け入れ、一緒に創り上げていく社会を指します。

『共存する社会』であるがゆえに出てくる壁は
文化や宗教だけでなく、言語の壁も分厚くのしかかってきます。

日本語がわからない理由で、日本で外国人が安心して医療も受けれないのでは
真の国際化社会とは程遠い発展途上の状態です。

『共存していくために私たちができること』、だと
善意を持ってこれまで対応してくださっていたボランティアの方の気持ちを踏みにじらないよう
医療通訳者の制度化を進め、しっかりとした待遇と尊敬を持って
報酬を得られるお仕事として医療通訳者が活躍できる場の確保がされる社会であってほしい。

そして何より、これからますます増えていくであろう
日本に住む外国人が安心して病院に行けるように。
彼らの人権の確保ができる国、日本であってほしいな、と。

今日はそんな思いを綴ってみました。

おうち英語教材