アメリカにずっと住んでいても、日本のニュースはこまめにチェックしています。最近一番衝撃を受けたのは、元モーニング娘。の吉澤ひとみさんの飲酒運転・ひき逃げ事件。
4期メンバーと同年代で、同じ年代なのに、かっこいい・すごい!と憧れを抱いていた存在でもありました。ニュースを見ていると、悪質な事件だという批判に加え、育児や結婚生活に悩んでいた、という話もちらほら書かれています。誤解のないよう、初めに断言しますが彼女を擁護する気持ちは一切ありません。飲酒運転はやってはいけないし、ひき逃げなんてもってのほか。
フォーカスを当てたいのは、育児疲れと人に頼れないという思い込みの危険性について、です。この記事を読んで欲しいのは:
- 育児に疲れ果てている親
- 育児を手伝いたいけどどこまで踏み込んでいいのかわからない祖父母世代
- 配偶者の育児軽減をしてあげたいけれど何をしてあげると助かるのかわからない夫(妻)
私は現在3人の育児奮闘中です。忙しいながらも、3人目が生まれてからが一番、メンタルの面で落ち着いています。1人目、2人目の時は、幾度も育児に疲れ果てて泣き崩れた経験があります。
育児疲れに気づかないということ。気づいた頃には泣き崩れるまでストレスが溜まっていること。また、気づいても自分も周りもどうしたらいいのかわからない、ということは本当に大きな事件に繋がりかねないという事を、今回の事件を目にして改めて気づかされました。
育児はみんなやっているんだから、自分も頑張らなきゃという思い込みの怖さ;心の束縛
まさに、私はこの典型的なパターンに陥ることが多かったです。
- 主婦をしているのだから家の事・子供のことは私がして当たり前
- 母親(父親)なんだから、●●をして当然
- 夜泣きがすごくて寝不足だけど、●●ちゃんのお母さんは、フルタイムで働きながらも同じ月齢の子育てを両立できているから、自分にもできるはず
- 夫(妻)も深夜まで毎日仕事をしているので弱音を吐かずに私も頑張らなきゃ。
- 同じ核家族で、人の手を借りずに子育てしている世代はたくさんいるから私にもできるはず
- 手のかかる時期なんて今だけなんだから、頑張らなきゃ
- 3人の育児に、幼稚園、習い事、旅行、住宅ローン。●●さんのお宅は3人いても全員習い事させてあげているのに、、、我が家ももっと子供に色々経験させてあげたいけど、回らない!!!というストレス
- 友達も育児で大変なんだから、頼れないし頼っちゃいけない
まさに、私は上記のような気持ちを心に留め、『みんなやってることだから』と自分を奮いたたせながら育児に取り組んできました。ある種、自分で自分の首を絞めて来た束縛のようなものです。
心の束縛の呪いから解き放たれた瞬間
子育て3人目ともなると、今まで本当にたくさんのママ友、パパ友と接する機会がありました。その中で、当たり前だけど、それぞれ置かれている状況ってこんなに違うんだ、と知ることでかなり心が楽になりました。
上記に書いたように、自分で自分にかけていた心の束縛の一部を抜粋して
もっと早く気付けば良かった・・・と思ったことを、ここに備忘録としてメモします。
主婦をしているのだから家の事・子供のことは私がして当たり前という呪い
確かに、家事や子育ての大半を担うというイメージの主婦という仕事。間違いではありません。どんなお仕事にも「責任」という言葉がついて来ますので、主婦というお仕事に責任・職務が付いてくるのは必然的なことです。
ここで危険なのは『みんなやってるんだから私も』というプレッシャーを自分にかけすぎる事。
ブラック企業という言葉があるように、会社によって環境はかなり異なりますよね。A会社で営業をしている人とB会社で営業をしている人。同じ営業職で、責任や職務にさほど差はないと思います。
福利厚生が充実していて、平均年収よりも高い年俸、5時ピタで終わるような働きやすいA会社もあれば、週末も残業付かずにタダ働きをしても何年も昇給がなく、福利厚生はほぼなし、毎日終電の生活を強いられるB会社もあります。
同じ営業職でも、A会社とB会社では、給与や福利厚生、働く環境やストレスの質にかなり違いが出ます。
これを子育ての環境に置き換えてみると、同じ子育て世代でもかなりの格差があることがわかります。
- 祖父母が週末になると孫を外出に連れてってくれる = 遅れていた家事を邪魔されずに済ませる時間がある。
- ほぼノー残業の夫がいる = お風呂に入れてもらっている間に、夕飯の片付けができる
- 週末は完全に休日の夫がいる = 毎週とまでにはいかないが、たまには、朝ゆっくり寝ていられる日もある
- 自分が熱で寝込んだ時、駆けつけてくれる祖父母が近くにいる = 本当にしんどい時にいつでも頼れる人がいる
- 自分のための診察・歯医者がある場合は、頼める誰かがいる = 泣いたり、グズる子供を何時間もかかる病院に連れて行かなくてもいい
- 「疲れているだろうからたまには泊まりに連れておいで」と言ってくれる誰かがいる = 子どもなしで、配偶者と話す時間ができ、日頃のすれ違いが解消できる時間が持てる
- 住宅ローンの頭金を、新築祝いで少しだけカンパしてくれる親戚がいる = そのぶん子供の貯金に回せて経済面でのストレスが減る
- 実家の家をもらったので、住宅ローンがない = そのぶん子どもに習い事をさせてあげられる
- 朝出勤時間が遅い夫 = 朝の幼稚園の送りを夫が担当してくれる。その間に家の掃除をチャチャッと済ませる時間がある
- 仕事柄、平日家にいることもある夫がいる = 銀行・郵便局などサッと済ませられる用事を子供が昼寝中に、自分1人で済ませることができる (グズる子どもを雑務に一緒に連れて行く必要がない)
『育児はみんなやってること』かもしれません。でも、あなたは、どんなに小さなことでも、こういった周りのサポートを得られる環境にありますか?
ママ友・パパ友と関わっていく中で、サポートが手厚い・薄い、様々な子育て世代に出会いました。みんな置かれている状況はかなり違います。
3人子育てしながら、3人ともに習い事をさせ、週末は3人連れてお出かけしているというパワフルなママに出会った時は、『なんでそんなことできるの?』と心の中でずっと思っていました。ある日、そのママと会話してみると
- 実家を相続させてもらったので住宅ローンがない(税金だけ払えばいい)ので、浮いたお金で習い事を3人ともにさせてあげられる
- 祖父母が近くにいて平日は手伝ってくれる事が多いので、その余力で週末は家族サービスまで手が回る
- 夫が定時に帰ってくるので、夜の寝かしつけの分担ができる
住宅ローンなし、という経済的な余裕と、常に手伝ってくれる人がいるという2大欲求を満たせる環境で育児をされている、という事が判明。
以前までは、『3人子育てしてるのにあんなにできてすごいな』『自分には到底できない』と落ち込むこともありましたが
環境のあまりの違いを知り『あ、自分とは環境が違う人と比べてもしょうがないよね』と、自分の心の束縛を解いてあげる事が出来ました。
『彼女も三人子育てしてるんだから私も頑張らないと』とはもう思わなくなりました。そこから色々なプレッシャーから解かれていき、今はのほほんと(もちろんイライラしますがw)育児をしています。
育児疲れにも個人差がある
私は3人の子育てをしていますが、上2人の夜泣きは、それはもうとてつもなく酷かったです。かなり悩み、泣きました。
義理母には、『私の育て方や寝かしつけ方が悪い』だの『うちの息子は夜泣きなんてしなかったから、あなたの遺伝子ね』と言われることもありました。
そして夫には『泣いたらすぐ抱っこする癖がついちゃったからいつまでも泣くんじゃないか』と言われる始末。
特に辛かったのは、上2人は、2歳になってもまだ毎晩毎晩、何度も夜泣きしていたので約4年間、毎日慢性的な寝不足に悩まされていました。何度も何度も起こされて寝る合計5時間と、ぶっ通しで5時間寝るのは全然違います。
日中も眠いので子供のパワーについていけずイライラしてばかり。どんどん心と体力がすり減り、気づいた時にはいつも泣き崩れてどうしたらいいのかわからない、ということがよくありました。
3人目が生まれた時も夜泣きを覚悟していましたが、3人目は夜の授乳の時期を過ぎてからは毎晩約12時間・少ない日でも8時間は寝ます、もうすぐ二歳です。
新生児のころも、上2人は夜の授乳の後も、グズグズ。寝付くのに時間がかかって結局私の目が冴えてしまって次の授乳時間が来るというパターン。3人目は夜の授乳のためにちょっと泣いて、飲んあとは寝かしつける必要もなく勝手にスーと寝る子でした。
産後半年以降は、起きることなく毎晩まとまって5〜6時間以上の睡眠を取れている状況にあります。
上2人は夜の寝かしつけに毎晩1時間かけていました。泣かれて抱っこして、歌を歌って本を読んで、腱鞘炎になっても頑張って、それでも寝ない。それでいて夜泣きもする。『一体どうしたら寝てくれるの???たまには楽させてよ!』と泣きながら子どもを怒鳴ったこともあります。
でも3人目は、『おやすみ』と言って布団の上に置くと、自分で寝転がって勝手に寝ます。『え?????こんな子いるの??????』と目を疑いました。
上2人の時は、毎晩まとまって寝れるのはせいぜい2時間。大泣きして30分〜1時間あやして、、、また1時間寝る。というブチブチの5時間睡眠。3人目は少し家事が長引いて深夜に寝たとしても邪魔されずに寝れる5時間は全然違うと声を大にして言いたい。
睡眠が少ないイライラと、『私のやり方がダメなのかな・・・』という子育ての悩みという精神的なストレスが重なると、かなりダメージ大でした。
3人の子育てを通じて、同じ我が子、同じ育児でも子供によって全然負荷が違う!!!!と思い知らされました。
祖父母世代へのメッセージ
時に子育ての先輩からの言葉は、悩みのタネになります。
一つ前の段落の体験談にもあったように、夜泣き一つとっても、子どもそれぞれかなり違います。
どうか、『自分の時代はこうだった』とか『自分の子育ての時はこうだった』とかいうアドバイスはお控えください。
その人の立場にたって、悩みを聞いて、その上で助けてあげられることをしてください。
『夜泣きで寝られない』という悩みに対して『あなたのやり方がまずいんじゃないの?』『こんなことしてるから寝ないんじゃないの?』というアドバイスは不要。
そんなアドバイスされた時点でシャットダウンします。
『夜泣きで寝られないんだったら、孫だけで今週末うちに泊まりにくる?寝られるように夜のお世話するよ』とか、『明日なら半日ほど遊びにいけるけれど、その間、あなたが家で眠れるように、孫を外へ連れ出してベビーカーでお散歩させようか?(かつ、ベビーカーで孫を昼寝させるからスケジュールが崩れる心配なし)』
という具体的にあなたがしてあげられることを言ってあげてください。
配偶者へのメッセージ
『疲れてるなら休めばいいじゃん』
『後からやればいいじゃん』
は逆効果です。
- 家事が溜まってイライラしてるだろうから、邪魔されず家事が終わるように今から子供を3時間くらい連れ出すよ。
- 友達と出かけておいで!3食、子どもには俺が用意するし、掃除機と食器あらいは終わらせておくから。(つまり自分の用意だけして家を出て、遊びに行き、帰ってきたらお風呂に入って寝ればいい状態になっている)
- ゆっくり休んでね。どの家事が終わってないの?わかった、じゃあそれをやっておくからゆっくり寝ておいで。
これも祖父母へのメッセージ同様、具体的に提案して、具体的な協力をしてください。
休んでも結局、家の中の仕事が一つも終わっていないどころかもっと悪化していると、泣き崩れたくなります。
『休めばいいじゃん』『ねればいいじゃん』という言葉かけは不必要かつ逆効果。休むため・寝るためには具体的に何をすれば休める・寝れるのか、というところまで付け加えて初めて協力していることになります。
兄夫婦と子育ての共感ができなくなった
私は以前、子育て世代はみんな同じように苦労しているんだ、と自分を奮いたたせて頑張ってきたつもりでした。でも、置かれている状況が100人いたら100通りあるように、それは勝手に自分が自分に課せた、必要のないプレッシャーだったと気づき心が楽になりました。
でもひとつ、自分が気をつけないといけない、と思ったのは、『私の方が大変な環境にあるのに、なんで文句言うの?』と思わないように心がけること。です。
兄夫婦は、我が家の子どもと同年齢の子育て世代。
兄・義理姉の両親ともに近くに住んでおり、4人の祖父母の力を常に借りられる環境にいます。美容院だって好きな時にいけるし、歯医者にだって気楽にいける。医者にかかる時はグズグズした子どもを一緒に連れていく必要もないし、ジムに通ってストレス発散だってできる。夕飯のおかずを分けてもらって家事の負担が減ったり、自分に熱が出た時は、子供を預けて体力回復に集中できる。
週末は祖父母が孫を動物園へ、なんてこともしてもらっていて、かなり羨ましい・楽できていいよな・・・と思っていました。
それなのに子育ての文句を言う兄夫婦を見て、かなり腹を立てていた時期があったのです。自分より恵まれた環境にいてもなお、文句を言うのが理解できなかったからである。
でもある日、泣いている義理姉を見た。
『夫(兄)が残業・休日出勤ばかりで、頼めるのは祖父母だけ。でも祖父母ばっかりに負担がいきとてつもなく気をつかう』
『子どもの発達の問題を指摘され、誰にも相談できずに1人で悩んでいた』
『言うことを聞かない子どもといることも疲れるし、仕事・残業で夫には頼めないから、毎回祖父母に頭を下げてお願いするのにも疲れた』
そして兄は、『祖父母にあれだけの協力をしてもらっているのに疲れている妻を理解できない』
まさに隣の芝生は青い。環境・感じ方は人それぞれなんだなと痛感。
ぞれと向き合い、その人の環境・悩みに応じで向き合うことが大事なんだと気づかされた一件でした。
まとめ
『育児はみんなしていることだから』という不必要なプレッシャーを自分にかけていた私。
だんだんと人に甘える・頼るということさえ、できなくなっていました。(人を頼れないと感じすぎて、3人目の出産でさえ頼むことができず陣痛の時でもグズられながら上2人を分娩室へ同席させ、彼らの隣で出産するほどでした。笑)
『え?出産?そんなの全然頼んでいいことだよ』
と思うでしょうが、逆にいうと、そこまで自分にプレッシャーをかけていたということでした。そりゃー私も周りも疲れるはず。
育児疲れを感じている当事者も、その周りの方も。
事件に繋がる前に、それぞれの環境・置かれている状況を見極め
最善策を練り、少しでも楽しく、ストレスと上手に向き合いながら、
限られた育児の時間を
過ごせますように。