ミリタリー(米軍)生活と切り離すことのできない『ディプロイメント』。ディプロイ中、残された家族は日本へ一時帰国するべきなのか、本土に残るべきなのか。
この記事では、それぞれのメリット・デメリットの整理をしていこうと思います。
(米軍勤務の夫を持ち、アメリカ本土で暮らしているミリタリー家族の方をターゲットにして書いています)
この記事を読んでほしい人:
- 米軍で勤務する夫のディプロイが決定した家族の方
- ディプロイ中、日本へ帰るべきか、本土に残って帰りを待つべきか迷っている方
- 日本へ帰る・アメリカに残るそれぞれのメリット・デメリットが知りたい方
さぁ、夫のディプロイの日程決定。家族はどうなる?
家族が、夫の不在中とる選択肢は、大きく分けると2パターンあります。
- 全て引き払い、日本の実家に戻って、夫が帰って来たらその時点でまた一緒に暮らす
- 現在住んでいるところにそのまま残って帰りを待つ
どちらもメリット・デメリットが存在します。
実体験・ミリ妻からの体験談もふまえつつ、両方の意見を整理していこうと思います。
アメリカ本土に残る選択
今住んでいるところにそのまま残り、夫が帰ってくるのを待つパターンです。
この選択肢をされる方にみられた特徴をまとめると
- 子どもの学校があるので半年・10ヶ月とかのために引っ越しさせたくない
- 持ち家があるので、1年くらいのために引っ越して、賃貸にして、、、、という手間はかけられない
- 今の土地で自分(ミリ妻)も仕事をしてるのでわざわざやめるつもりはない
- 日本の実家に帰るスペースがない
- ペットがいるので、国をまたぐ引っ越しはなるべく避けたい
アメリカ本土に残るメリット・デメリット
メリット
この選択肢の大きな特徴は、『夫が長期不在になる』、ということ以外、変わらない生活が継続・生活の基盤の維持ができること。
- 引っ越す必要がなく、持ち家がある場合、賃貸に出す・売る作業をしなくて良い
- 自分の仕事を辞める必要がない
- 子供の転校の回数が抑えられる。(ただでさえ異動が多く、引っ越しざんまいなので)
- 国をまたぐ引っ越しをしなくて良い
- 基地へのアクセスができ、手続き関連やサポートに困らない
- 周りに同じユニット・船の知り合い・友達がいる
- リザーブの方の場合は、ディプロイ後シビリアンに戻るので、そのまま本土に残った方が経済的ではある
- 今後も長く続くアメリカ生活を自分で切り開くため(特に渡米して間もない方に多く見られた特徴)
デメリット
- (なんらかの理由がない限り)こういうチャンスがないと、今後なかなか長期で日本に滞在する機会はなかなかやってこない。
- (賃貸の方は)急に、家を売りたいから契約を終了してほしいと言われ、夫不在の中、結局引っ越しになった。(←実際そういう方が1名いらっしゃいました。こういう時のために必ずPOAは準備しましょう。)
- いざとなったら頼れる人が少なく、孤独感を感じる場合も
日本に一時的に帰る(里帰り)選択
今住んでいるところを離れ、日本の実家へ一時帰国するパターンです。
この選択肢をされる方にみられた特徴をまとめると
- 両親も、もう若くないので、可能な限り一緒にいる時間を作りたかった
- 子どもに、日本語の環境へ身をおいて欲しかった(特に小さなお子さんの場合)
- 初めてのディプロイで不安。少しでもサポートの多い実家に戻りたい
- ディプロイ中に出産を控えている(又は生まれて間もない)のでサポートの多い実家に戻る
日本へ一時帰国するメリット・デメリット
メリット
この選択肢の大きな特徴は、今後なかなかやってこない日本での滞在で、日本の家族との距離をもう一度縮めることができる、子どもを日本語の環境に置けるということ。
- 日本の家族と、過ごせる時間が一時的であっても作れる。嫁に出た以上、長期で日本に滞在し、自分の家族と水入らずの時間を過ごせるのは(孫がいればなおさら)なかなか貴重。
- 子どもを日本語の環境に一時的に置くことができる(特にお子さんがまだ小さい場合)
- 断捨離できる;一旦アパートを引き払ったり、倉庫に荷物を入れたり、持ち家を賃貸に出したり・・・と掃除・断捨離の機会になる
- 実家や昔からの友人が周りにたくさんいる環境にいることで、夫がいない孤独感が和らぐ
デメリット
- 国をまたぐ引っ越しや手続きが負担になる(ビザ、家を引き払ったり、携帯・保険を止めたり、車を売る・長期引取先を探すなど)
- ペットがいる場合の手続き
- 就学児がいる場合の転校・引っ越しに伴うデメリット
- 夫が帰って来たら、また1から家探し等が待っている
- 実家が米軍基地に近くなければ、米軍関係の手続きはほぼできない。
(逆に、実家が米軍基地に近ければ、英語の環境の学校・基地へのアクセス・基地からのサポート継続が可能)
状況に応じてベストな選択を
私がミリ妻だった頃、妻になって初めてのディプロイメント中は、日本へ一時帰国しました。
荷物を可能な限り売ったり処分し、$150/月くらいで最低限の荷物を残す倉庫を借りました。
携帯や保険もDeploy中のための手続きをし、当時借りていたアパートも引き払いました。
私がなぜ一時帰国を選択したのか:
- 18歳の時に渡米し、そのまま結婚。両親や祖父母ともう一度だけ親孝行のつもりで時間を過ごしたかった。(もうこんな機会一生こないだろうな、と。)
- 18年子どもとして過ごした日本と、一度長い間外へ出て日本に住むという『感じ方の違い』を体感したかった
- まだ子どもがおらず、身軽だった
- 同時のベースに引っ越しして間もなかったので、知り合いがほとんどおらず、ディプロイ中孤独になることが目に見えていた
- この時点で、アメリカの大学を卒業し、現地生活が長かったので、アメリカでの生活基盤やリズムはすでにできていた
私個人が感じたメリット・デメリット
メリット
- 兄と、最後に兄妹水入らずの時間がたっぷり過ごせた(私がアメリカが戻って彼は結婚し、兄にも子供がいるので、今では帰国しても、1対1の関わりがほぼない)
- 18歳で実家を出てしまった私ともう一度住むことができて、両親がとても喜んでくれた。
- 年老いていく祖父母と、密な時間を過ごせた。子供の頃は興味がなかった、戦時中・戦後の話や過去の恋愛話など、今まで知らなかった祖父母の話が聞けた。
(のちに祖父は他界してもう話が聞けないので、本当に貴重な時間だった) - 結果論として、割と時給の良い仕事に就くことができ、お金を貯めることができた。
- 家族や、昔からの友達と過ごす時間のおかげで、孤独が半減した。
- 夫も、私が1人でアメリカに残るのではなく、実家で過ごしている方が安心だったと言っていた(結果論)
デメリット
- とにかく手続きが面倒だった。(倉庫、引っ越し、家具の処分、携帯電話、保険、車etc…)
- 実家は米軍基地とは全く無縁の地域にあるので、基地での手続きや、サポート関連へのアクセス等が全くできなかった。
- 米軍関係の人が周りに一切いなかったので、なかなか理解してもらえない面もあった
- アメリカに戻ってからの手続きもまた、面倒だった。(しかもディプロイから帰ってきたばっかりの夫も、帰ってきて休む間も無く手続き・家探しに追われてかわいそうだった)
- 8ヶ月ほど長期駐車場に預けていた車のタイヤがパンクしていた(←地味に面倒だった)
まとめ
それぞれの状況に応じて、メリット・デメリットの比率が変わってくると思います。
ディプロイはミリタリー家族にとっては、逃れられないもの。
残される家族にとって、それぞれ最良の選択ができますように。
ミリ妻のみなさんは、どのような選択をされましたか?